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歴女

先日、お酒を飲みに行った時のことである。二十代前半の女性が接客に就いた。この位の年齢だと話題は限られるし、相手に合わせることもあまり上手ではないので、大抵の場合、話は進まない。二言三言さし障りのない話をしていたが、先方もこちらの話に関心はなさそうだった。しばらくたった後、地方に仕事で行った折、お城を見物した話をすると、急にこの女性の目が輝きだした。この女性は、戦国時代の城や武将にとても興味があるとのことだった。巷では、このように歴史好きの若い女性が増えており、歴女と呼ばれているらしい。

昔は、戦国武将と言えば、男性サラリーマンの独壇場で、歴史小説を読んでは、戦国時代という極限の中で下された決断力や洞察力を、現代社会におけるそれらに例え、熱弁をふるっていた。山岡荘八の徳川家康がブームになれば、多くの経営者はその忍耐力を我が経営に例えた。戦中戦後の苦難を乗り越え、会社を発展させた人たちの琴線に触れたことは容易に想像される。

津本陽の織田信長の新聞小説が評判になれば、そのリーダーシップを経営評論家が絶賛したものだった。この小説は、80年代後半のバブル景気の時代に連載されていたのだが、信長の持つ先進性と本能寺へと続く破壊性が、その後のバブル崩壊を暗示していたかのように思える。

ところで、この女性は、前田慶次郎というあまりリーダーシップを感じられない戦国武将が贔屓だと言う。そして、その武将のことはマンガで知り、ゲームを通じて好きになったそうだ。今回の戦国武将ブームは、今の時代をどう読み解いたらよいのだろう。私は、また会話に詰まってしまった。

2009年11月 5日 (木) in 安藤 浩平
 
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