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『即戦力採用』

久々に会ったカメラマンの友人と、仕事の話をしていた。

華やかな世界だからということもあるが、「仕事」の話とは言っても、彼ら自身がサラリーマンではないので、聞いていて新鮮に感じることも多い。

先日も採用の話をしていた時に、「この業界には『即戦力採用』ってこと自体がないんだよ。」と言われて、はっとした。

彼らは大抵、最初はスタジオに勤め、名のある先生のアシスタントとして経験を積む。技術は当然のこととして、才能があって運が良ければ、どこかのタイミングで独立することになる。つまり、「新しく入ってくる人間は、『入ってくる』時点で『即戦力』ではないから、『即戦力採用』などない」というのだ。確かにそうだと思うと共に、改めて厳しい世界だと思った。

最近では、それなりの年齢のサラリーマンが、「やっぱりカメラやりたいんで」と言って転職してくるケースがあると言い、そんなところで不況を感じるのだそうだ。

どうせ厳しいのならば、いっそ好きなことを、ということか。

おかしいのは、いきなりとても高級なデジカメを買ってしまったりすることだ。

「ダメだよね。」と言うから、「ダメだね。」と答えた。

「でも、もしかしたらその人なりの覚悟なのかもしれないよ」と、ものすごく想像力を働かせて言ったら、「それだけの道具を使う意味が出てくる頃には、それよりもっと良い機材が出てくるんだよ。そういうのは覚悟って言わないよ。わかってるくせに。」と笑う。

彼らの世界は不況でなくとも才能がなければ仕事は来ない。

アシスタントは、どんなに出来てもアシスタントでしかない。

だから大抵みんなアルバイトで生計を立てている。

なのに、そのデジカメの値段は、アシスタントの年収相当だ。

はっきり言おう・・・それでは勝てまい。

どんな仕事も楽ではないが、彼らの世界は厳しさが違う。

一般の会社は、少なくとも「即戦力採用」「経験者採用」がある。

『即戦力』でなくても、『経験者』であれば入社できてしまうこともある。

才能を問われるのは、きっとある一定のラインを超えてからで、大抵のことは努力でなんとかなる。

ありがたい話だ。

2010年1月31日 (日) in 清田 綾子
 
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